昔、一人の平和なおじいさんがいた。 本名は「讃岐造」というのだがそれはどうでもいい。 更にどうでもいい事を言えば、 これは「さぬきぞう」と読む名前ではなく、 「さぬき・みやつこ」さんというれっきとした姓名なのだが、 周りからは単に 「竹取ジジイ」と呼ばれていた。
竹取ジジイの職業は、ザ・ウッド・カッター・オブ・バンブー。 野や山へ分け入って、竹の木を切り倒すのだ。 切り倒すったって、竹相手だから労力も、たかが知れているのだが 老人だから仕方がない(何が?)。 その竹で竹細工を作って売っては、メシの種にするという毎日だった。
そんな、自然に優しくない生活をしていたじさま。 ある日いつものように竹林伐採にでかけると、何やらほうっとした光が見える。 目をこらすと、根元が光っている竹が一本ある。
不思議に思って近づいてみると、なんと筒の中から光が漏れている様子。 更にびっくりな事に、この発光竹の中に小さな女の子が座っていたんですねー。
…ほんとに小さい。なんと全長10センチ。 しかもめちゃくちゃ可愛い女の子♪
この手乗り美少女にじいさん、感激し
「ワシのテリトリーな竹林にいてんから、この出会いは運命やな。 しかもワシ、籠(こ)作ってるし。 だからあんたはワシの子で間違いなし!」
とか訳の分からん理屈をこいて、女の子を家に連れて帰った。 連れて帰ると、(自分で世話すりゃいいものを)おばあさんに育児を任せた。
この竹子ちゃんの可愛らしさと言ったら、もうマンハッタン級。 背丈が10センチしかないので、じいさんお手製の籠に入れて育てたりして (ネコ?) まさしく、彼女は竹取ジジイ家のアイドル:籠入り娘。
さて、竹子を拾ってからというもの、竹取ジジイの生活に変化が生じた。 なんと竹を切ると、その節と節の間に★金★が 入ってるんですねー。 それも一度や二度じゃない。何度も何度も、金入り竹を見つける事が度重なる。 女の子が「落ちてた」からって、テイクアウトするようなおじいさん、 金入り竹を警察に届け出したりする事もなく 自然、 竹取ジジイ家の家計は潤っていく。
10センチ竹子ちゃんの方はというと、すくすくと大きくなって、三ヶ月も経つと あら不思議、美しいレディーに成長した。 なので、一般女子の身長にまで育った時点で、 生後三ヶ月にも関わらず、成人式を行うことにした。
その時代の成人式とは、長い髪をルーズなゆるポニーに結い上げて、 腰に、長い、後ろ部分だけの”裳”という巻きスカートを着用するというもの。
成人式も迎え、「年頃のお嬢さん」となった美しい竹子を、 おじいさんおばあさんは更に大切にし、 几帳の中に囲って、大事に大事に守った。
この竹子はウソみたいな美貌の持ち主で、 まるで部屋に光が満ちるような美しさだった。 じいさんはムカついている時でも、テンションの低い時でも この子を見ると気分が安らいだ。
さて、金入り竹を取り続けているおじいさん、 竹子の養育費を差し引いても、充分な金額を手にする事が出来、 今やじいさん大金持ち。
お金も貯まったし、竹子も日に日に美人さんになっていくしで、 おじいさんは、三室戸斎部の秋田さんというお偉いさんに頼んで、 竹子に名前をつけてもらった。 秋田さん、付けてくれましたよ。 その名も、 「しなやか竹のかぐや姫(なよ竹のかぐや姫)」。 かぐや姫の”かぐ”は、”輝”に通じ、 衣通姫(美しさが服を通して輝き出る)や、大御所:天照大御神ともお揃いの 光系な名前です。 ↑古文の時間の解説より
ええ名前じゃないっすか〜。 じいさん、大満足。 やれめでたいって事で、それから三日間、竹取家ではお祭り騒ぎ。 男性は誰でも参加OKパーティーで、歌い、舞い、食い の華やかな三日間となりました。
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